セックスレス、ツライ気持ちを打ち明けた

『なんで私としないの?』

頼んだ紅茶のティーカップが震えてた。 

 

ずっと話さないといけないって思ってたけど、避けてきた。

飽きたとか女として見れないとか…そんな言葉をかけられるかもしれないと思うと怖かった。そんなことは“しない”って事実から薄々わかってたけど改めて言葉にされるのは怖い。

 

ずっと悩んでた。

なんでしないんだろう、なんでしてくれないんだろう。

女としての魅力が足りないの?

もう好きじゃなくなったの?

女磨きをしたらいいの?

私が努力したらまた求めるようになるの?

 

明日早いんだ。

疲れてるんだ。

めんどくさい。

いつでもできるじゃん。

 

そんなに拒否されたらもう誘う気力すら無くなる。プライドがズタズタだ。

女が男を誘う勇気ってどれだけ必要かわかるのか。

 

好きな人だからこそしたい愛情表現がある。

彼氏にしか、夫にしか、求められない愛情表現がある。

 

僕は私は他の愛情表現をしてるつもり。僕は私はセックスは大事ではないと思う。

 

そんな戯言を言う人間もいるけども、そんなにあんたには価値があるの?

その愛情表現で相手は本当に満足してるの?

え、そんな他の愛情表現は友達だって誰だってできる。

他の人にしてもらうことだってできる。

 

でもね、たった1人の相手としかできないこと、あなたにしか求めたくないものがあるんだよ。

そのかけがえのない愛情表現をしない、してもらえない、拒否される、その悲しさがわかる?

セックスレスを問題と思ってない人間にはそんな気持ちわからないだろう。

わかりっこない。

わかってないからレスになってるんだ。

 

そういう人達はセックスを単なる性欲と思ってるんだろう。

だから、そんな行為は大事ではない。

だから、最悪風俗は行っていいよとか、気持ちが離れないなら外で処理してとか発想になるんだ。

よくセックスレスで悩んでる人に、性欲が強いだの動物的だのハシタナイだの言う人がいるけど、

どっちがより動物的なの?

愛情表現としてセックスをするのは人間とチンパンジーだけ。らしい。

チンパンジーでも愛情表現の形と理解してるのに、それを性欲の形と片付けるそっちの方が原始的で動物的でハシタナイ。

 

『僕もそのことに関して話さないといけないなぁって思ってたんだ〜…(半笑い)』

『なんか友達みたいな関係というか、家族というかそんな感じなんだよね(半笑い)』

 

首を傾げながら目の前の男は適当な返事をした。

 

呆れた。

 

自分から切り出す勇気も何もないくせに、いざ人が真剣に向き合ったら小馬鹿にした態度をとって。

『なんで私としないの?』なんて喫茶店で真剣に切り出す新婚妻の気持ちがわかるか?

結婚指輪を買いに行く前にこんな辛い気持ちで打ち明ける妻の気持ちがわかるか?

 

女のプライドも何もない。

その打ち明けに対して半笑いで対応する目の前の男。失礼すぎる。女に対する配慮も何もない。

1人の女も満足させられないこんな情けない男には愛情も冷めきった。

身体が反応しない、気持ちが反応しない、それは百歩譲って仕方がないことかもしれない。

でもこんなふざけた表情を浮かべてやり過ごすのは悩んでる相手に対する態度ではない。

こんなに悩ませた事自体よく考えると、もう愛するに値しないでしょ。

 

妻は夫の母親ではない。

私はお母さんじゃない。あんたのお母さんなんかじゃない。

結婚したから何もしなくても愛してるだろうなんて甘えでしかない。

 

結婚して早々家族になっちゃったから異性としてみられないって。

10年経ったとかならまだしも、いや、それも許せないけど、新婚で家族になったからって。

 

こいつにはセックスレスの悲しみなんてわからないんだよ。わかるわけない。わかるわけないんだよ。

 

もう何もいう気にならない。

 

家族と結婚するな。友達みたいな関係なら結婚するな。人の人生をお前の勝手な結婚観に巻き込むな。

 

コンドームのことについても聞いた。

 

『あー友達にあげた』

 

呆れ返った。

30過ぎた男がコンドームを友達にあげるなんて言い訳。まだ1人でする時に使ったとかの方が救われた。

 

返す言葉もない。

悪気も全くない。

 

もう諦めた。

 

これで納得してくれるだろうと思ってるこの目の前の男が自分の夫と思うと絶望しかない。何も言う気力にもならない。

 

この目の前の男は何もなかったかのように目的だった結婚指輪をオーダーしにジュエリー売り場へと向かっていった。

何か言うこともできず、ついて行くこともできない。

 

結局その日は結婚指輪のオーダーを出来るような心理状態ではなく、そのまま私は仕事に向かった。

 

もう家に帰りたくない。